オンリーコンレポその2

■第零幕:序章前

曇りガラス越しに、誰かが君の事を見ている。
薄ぼんやりとした意識の中、痛みと安堵が交互に訪れる。
PC全員は、そのような現状にいた。

ガラスの向こうの誰かが、大きな装置を操作している。
彼はにやりと笑うと「さようなら、ストームナイト」とつぶやき……
その瞬間、音も無く背後に現れた何者かに吹き飛ばされた。
意識は混濁し、世界は回りだす。
世界は終わり、世界が生まれだす。

第一幕が始まった。


■第一幕:シーン1:VS四辻の王
気がつくと、つぎはぎのような世界にいた。
君たちは全員知り合いだが、よく考えると知らないような気がする。

ここはサイバー教皇領のはずれ、チェコの国境に近い街ボヘミア……
の、様な気がする。

自分はストームナイトであるという記憶と、
自分はそれぞれのシステムの世界に所属する、
ペルソナ使いだったり、学生だったり、ヒーローだったり、
ウィザードだったり、戦士だったり、探索者だったりする記憶が有る。
まるで、二人の自分が同時に存在するような感じを受ける。

気がつくと、周囲で小さな人々が歓声を上げている。
「邪悪な王が死んだ! +ボーナスが帰ってくる! マンチキン王国万歳!」
オズの魔法使いを模倣したような、「+Xマジックアイテム」を大量に装備した
小さな人々の群れ(注1)の賞賛は、PCたちに向けられていた。

(注1:マンチキン。日本だとマンチキンカードゲームが有名)


よく見ると自分たちは大きな交差点に落ちてきた、あるいは飛んできたことがわかる。
よく見ないとわからなかったのは、そこがクレーターになっていることだ。

「邪悪な王が死んだって、ドユコト?」
PCたちの質問に、どこからとも無く+ボーナスを取り出したマンチキンたちはホクホク顔で答えた。
「僕たちを支配していた邪悪な【命なき生命の王(ノーライフキング)】、ルテジアが倒されたんだ! あなたたちによってね! あ、後僕はリアルマンだよ!」

あまりのどうでもいい会話にスルーしそうになりつつも、ノーライフキングといわれてびっくり。マンチキンたちの指差す先には、魔晶石をジャラジャラ着けた、爆散した何者かの腕が。
「あなたたちがルテジアと同じところにワープアウトしてきたんだ! たぶん、一瞬だけ早く小さなごみか何かがワープアウトして、対消滅したんだね! こんなの常識だよね! あ、後僕はリアル・ロールプレイヤーだよ?」

こうして、【四辻の王:ルテジア】は倒れた。
セッション開始から、わずか15分のことであった。

【現時点での踏破システム数……8】
追加! MUNCHKIN d20、ソードワールドRPG(1.0)

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■第一幕:シーン2:VS荒地の王

マンチキンたちから話を聞くべく奮闘するPCたち。
そりゃ、わけもわからないことばかりだろう。

会話を要約するとこんな感じ。

・ここはボヘミア
・ここは5人のロードと一人のハイロードが支配している。
・ロードの一人、「市街の王」のところには、サイバー教会の連中が出入りしている様子。
・5人のロードはそれぞれ「四辻の王(故人)」「荒地の王」「市街の王」「学園の王」「機械の王」と名乗っており、それぞれ勢力エリアを持っている。
・ハイロードは「天空の王」と名乗っており、名前は「アメリカ大統領」とか、「ダンケルザーン」とか言われている。(注2)
・彼らはそれぞれ争っており、「力」を求めている。
・なんでかしらないけど、ボヘミアは強烈なリアリティストームに巻き込まれていて、外部に出ることができない。
・ロードたちの支配エリアは全てボヘミアの中にある。


そして、ルテジアの宝物庫からなにやら救出された人物が一人。
「おお、ストームナイト……助かった、助かったアルよ……」
どこからどう見ても、痩せぎすで泥鰌ヒゲの中国人。ウーハン提督その人であった。

「ちょw 何やってんのウーハン!」
「しかもしおらしい。悪なの?」
「いえ、四辻のリアリティは《コアアース》です。ウーハンは現在善悪どちらでもありません」
「げぇ、ルテジアってコアアース人だったのかよ!?」
「世界法則は【魔晶石で魔法拡大の法則】と、テクスチャーで【常識の法則】ですが」
「最悪だ」
「で、ウーハンはNPCでもありますが、ソードワールド的に(嘘)マジックアイテムでもあります」
「な、なんだってぇーΩΩΩ!」

と、そんなところに嵐が発生。
なんだなんだとマンチキンに聞いたところ
「来た、やつだ! 荒地の王《Black-Wind》だ! あ、後僕はルーニーだよ?」
「荒地の王は暴虐を尽くす大男で、とっても恐ろしいんだ。え、マンチキンって何?」

そんなマンチキンをずんばらりんと切って捨て、鎧姿の巨漢が登場判定に成功。
背負った<超巨大武器>を抜き放つと、巨漢はこう言い放つ。

「ルテジア、やはりくたばりやがったか……俺に見込まれた王国は滅ぶ……」
「聞きたくないけど一応聞いておくが、貴様何者だっ!」
「ふん、刻まれし者……ではないようだな。なら……今、死にな」
「だからお前誰だよ!」
「俺の名か……いいだろう。俺の名は“黒き風の”ザムエル・ダールマン! 殺戮者よ!」
「あー、やっぱりなぁ」
「登場判定とかおかしいですよ。このゲームTORGなのに」
「うるせぇうるせぇ、捧げよ聖痕、今宵は殺戮の宴なり!」

と、そんなこんなでなし崩し的に戦闘スタート。
「あ、そうそう。ザムエルさんは聖痕8つ持っています」
「げげぇーっ!」
「では、スタンダード戦闘です」
「……え?」
「だって、ザムエルさんリアリティ能力者とか書かれてないし」
「……はぁっ!?」
「ぶっちゃけ序盤の肩慣らしなんだから気にすんなよヒューマン!」

そんなこんなで戦闘開始。
データ的にはアイルの不正5Lvもちジャイアントだったザムエルさん。
割と強いものの、5人相手は無理がある。
攻撃を喰らって、ダメージを食らうそのときに。
「世界法則【聖痕の法則】使用! <無敵防御(インバンシブル)>!」
「げげぇ、厄介だ。はじかれたか!」
「ザムエルさんの<耐久力>が一瞬だけ+3されます」
「……<アドレナリン>かよ!」

ちなみに<死神の手(デスズ・ハンド)>はダメージ+3(だめおし)、
<絶対攻撃(フェイタルブロウ)>は追加行動(緊急行動)だったといいます。

でもって、そこにブレカナを良く知らない探索者、鮫田さんの一言。
「まぁ、相手は人間なんだし、話せばわかるでしょう。<説得>します」
「え、ちょw 相手殺戮者」
「あ、ごめん。君たちと同じく、有用な世界法則は一つだけなんだ。なので、【殺戮者の法則】ってのはないので、こいつはただのアイルの不正を持った悪い人だよ?」
「な、なんだ(以下略)」

一判定後……そこには元気に庭を駆け回るザムエルさんの姿が!(嘘)
というわけで、なんと説得されてしまい戦闘が回避されてしまいました。

「なんだよ、お前たち聖痕持ってないのか。戦う意味ないじゃん」
「初めっからそう言っているだろうに」
「馬鹿やろう、説得されない限りそんなこと聞く耳持たないんだよ俺は!」
「メタなこというな!」
「まぁいい、お前はそれ(ストームナイト)で、俺はこれ(テクスチャー殺戮者)だ」

黒き風のザムエル・ダールマン。撤退!

(注2:ダンケルザーン。シアトルに本拠地を持っていたエルダードラゴン。後のアメリカ大統領。でも暗殺された)

【現時点での踏破システム数……10】
追加! ShadowRun4th、Blade of Arcana 2ndEdition